4月30日水曜日。雨。最高気温18℃。今日は前線の通過に伴って朝から悪天候。特に午後からは一時激しい雨になりました。連休の狭間の水曜日、周辺の医療機関はお休みのところが多いためか、普段より予約外の初診の方が多めでした。喉かぜの方がちらほら。
今月になって“高血圧の基準が甘くなったんですって?”とか“コレステロールは高くても良いんですって?”なんて聴いて来られる患者さんが増えました。どうやら皆さん4月4日に健康診断での数値について新しい基準値が取りまとめられたという報道をご覧になった様です。
出所は日本人間ドック学会と健康保険組合連合会の小委員会の報告。
この中には日本はもとより世界のガイドラインの常識を覆すような数値が並んでいて、マスコミには恰好のネタ!?。
でも間違ってはいけないのは、持病がなくて検査項目で異常の無い人だけを集計したデータで、心血管病の危険性や治療介入の必要性を考慮したものではありません。
あまりにも反響が大きかったせいか、この報道から数日後の4月7日になって、日本人間ドック学会自身が「4月4日に報道機関に公表した内容について」というコメントを出し、今回公表したデータは単年度のものであくまでも中間報告であること、これをもとにこれから議論したうえで健診の現場で使える判定基準を作成していくつもりであること、今すぐ学会判定基準を変更するものではないこと、を追加発表しています。でもこのコメントはほとんど報道されなかった様です。
残念ながら、当院の患者さんの中にも「新聞に出ていたから」と当方の説得に応じずに治療を中止してしまう方も。私の不徳の致すところで・・・。皆さん(私自身も!?)自分にとって都合の良い数値しか目に止りまらないものです。
ちなみに治療のガイドラインというのは、もとより国で定めたものではなくて、その道の専門学会が治療の標準的な指針とその根拠を示したもの。“このように治療しなさい”なんて強制的なものではありません。
また学会ごとに同じ検査項目でも基準値が異なることはいくらでもあります。それでもこの4月に改定された最新の高血圧治療ガイドラインは、他の学会の基準値との整合性に随分配慮されたそうです。
今回の件に関して、日本高血圧学会の見解(4/14発表)や日本動脈硬化学会の見解(4/23発表)も出ています。治療を自己中断してしまう前にぜひご一読を。
本ブログでは医学ネタは書かないスタンスでしたが、今回だけはご容赦下さいませ~。
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